最終更新日:08/05/25

技術紹介

異物検査装置IQ技術資料
Technology of Particle Counter IQ-530

はじめに

 当社では、画像処理技術、及び光学測定技術を基本技術として、半導体、薄膜磁気ヘッド、フラットパネルディスプレイ(FPD)分野向けの各種検査/測定装置の開発・販売を行っている。ここでは、ガラス基板用異物検査装置IQ−530の原理と応用例を紹介する。

測定原理

本装置は、世界で初めて商品化された「空間フィルタ方式」FPD基板異物検査装置である。空間フィルタ方式とは、半導体メモリや液晶基板の様に、繰り返しパターンを有する測定対象にコヒーレントな光を照射し、レンズによって得られるフーリエ変換面においてフィルタリング処理を行うことにより、周期成分(正常パターン)と非周期成分(異物やパターン欠陥)を光学的に分離する方式のことである。

 図1に空間フィルタ方式の原理を示す。液晶基板にレーザ光を照射すると、繰り返しパターンからの光が互いに干渉し合い、フーリエ変換面では繰り返し周期に依存したスポット状のフーリエ変換パターンが形成される。一方、基板上に存在する異物やパターン欠陥等の非周期成分からの散乱光は、フーリエ変換面では拡散光となる。よって、フーリエ変換面に"空間フィルタ"を挿入することにより、繰り返しパターンからの光を遮断し、基板上の異物やパターン欠陥だけを再結像させることができる。なお、図1では簡単のために透過方式を示しているが、実際の装置は反射方式で構成している。

 この方式の最大の特徴は、従来の画像処理方式とは異なり、検査に必要な演算処理を光学的に実現している点である。このため@パターン付きの基板検査によって検査スピードが変わることはなく、高速な検査が実現できる、A離散デジタル画像処理につきまとうサンプリング定理や量子化誤差の問題から完全に解放される、B画像的に認識の難しい微小異物に対しても高感度である、といった優れた特徴を有する。

IQ Spacial Filtering

図1 空間フィルタ方式の原理

装置概要

IQ-530 図2にLCD基板異物検査装置IQ-530の外観を示す。

本装置は、ガラス基板(ベア、透明膜付き、Cr膜付き、またはパターン付き)上の異物を検出し、異物の位置、個数、サイズ、異物マップ、ヒストグラム等を表示すると共に、予め設定された管理基準に基づいて良否判定を行うなど、工程管理用発塵モニターとしての諸機能を有した検査システムとして開発された。
図2 IQ-530の外観


装置の構成を図3に示す。

レーザ光をサンプル基板表面上に照射し、基板上の異物からの散乱光を基板上方に配置された結像検出光学系を介してラインセンサで受光する方式で、レーザ照射光学系、検出光学系ともに可動部は無く、サンプル基板を搭載したX-Yステージを動かすことによって、全面スキャン・全面検査を行っている。

また、オプションにより簡易レビューシステムを搭載することが可能である。
図3 装置構成  


特徴

(1) 高感度・高速検査
 特殊な超高感度ラインセンサと高出力レーザを採用することにより、高感度で高速な検査システムを実現した。パターンなし基板に対しては、1μmの検出感度を有している。また検査時間は、57秒(400×500mm基板)〜116秒(600×720mm基板)と高速で、しかも、この検査時間の中で後述するような1μm:20μmの表裏分離性能を実現している。

(2) 高い検出確度・信頼性
 従来からのフライングスポットによるレーザ散乱方式では、同じ大きさの異物が異なるサイズの異物として検出されたり、あるいは1つの異物が複数回カウントされるなど、検査結果にある程度の不確実性を伴うのは原理上不可避とされてきたが、本装置では従来のレーザ散乱方式に結像検出光学系を組み合わせることによって、高い検出精度と信頼性を実現している。 図4はきれいに洗浄された基板に20μmの標準粒子を散布した基板の検査結果である。S(1〜3μm)、M(3〜5μm)、L(5μm以上)のクラス分けに対し、散布した20μm粒子がSクラスやMクラスの異物として疑似検出されることなく、Lクラスの異物として正しく検出されていることが判る。

(3) 高い空間分解能
 異物検査システムにおいて、複数の異物が存在していてもそれ以上分離して認識・カウントすることができない限界の空間サイズを空間分解能というが、IQ-530では結像光学系とラインセンサの組み合わせによって、20μm□という高い空間分解能を実現している。このため異物総数が多いケースや、局所的に高い密度で異物が存在しているようなケースにおいても、検出個数の信頼性が大幅に向上している。

(4) レビュー機能
 高い検出位置精度を活かして、オプションにより簡易レビューシステムを搭載することができる。本システムは倍率可変(5〜50倍)のズーム式顕微鏡システム、同軸落射照明装置、カラーCCDカメラ、及びカラーモニタより構成されている。図5は検査結果表示画面の一例である。基板全面の異物マップが表示できるほか、異物マップのズームアップやレビューシステムの操作ができる。図6にレビュー画像の例を示す。
 異物の検出個数や発生状況に異常が認められた時に、その場で即座に異物のレビューが行えることは、異物の種類の特定や発生原因、発生箇所の早期究明につながるなど、工程解析上あるいは製品の品質管理上極めて有効な手段であり、従来の異物検査システムには無い機能として、ユーザより高い評価を得ている。

(5) 高い表裏分離性能
 IQ-530では1μm:20μmの表裏分離性能を有している。しかも、結像光学系とラインセンサを組み合わせた検出光学系の基本的な特性と物理現象を利用して表裏分離を実現しているため、表裏分離の信頼性や安定性が高いシステムとなっている。また、通常の検査時間の中で表裏分離が行われるため、表裏分離のために同じ基板を2度スキャンするなどの必要はなく、実質的な意味で高速な異物検査システムを実現している。

(6) パターン付き基板検査
空間フィルタの原理により、パターン付き基板に対しても、まったく同じ速度で検査が実行できる。空間フィルタは、対象パターンの周期などに依存するため、品種毎に交換する必要があるが、自動フィルタ・チェンジャも開発されている。

図4 20μm標準粒子散布基板の測定結果

 

図5 検査結果表示画面


レビュー画像

レビュー画像/異物

パーティクル

レビュー画像/ガラス片

ガラス片

レビュー画像/バクテリア

バクテリア

レビュー画像/グリース

グリース

レビュー画像/油脂

油脂

レビュー画像/蛋白

蛋白

 図6 レビュー画像の例


測定例
 

図7は、同一基板を30回繰り返し測定した時の、S、M、L、Totalの検出異物個数を示していて、それぞれのCV値(変動係数=標準偏差/平均値)は、1〜2.7%であり、高い測定再現性を有する。
図7 繰り返し再現性  

 

参考文献

  1. 林:フラットパネルディスプレイ用異物検査装置IQ-530、月刊ディスプレイ、12月号別冊、24/31(1997)
  2. 北川:新しい原理によるガラス基板検査装置、ファインテック専門技術セミナー (1998)
  3. K.Kitagawa,M.Hayashi:"New Particle Counter Using Spatial Filtering Technique", Display Manufacturing Technology Conference, at San Jose, 105/108 (1999)
  4. 北川:フラットパネル工程における新しい光計測技術、電気学会全国大会、1293/1296 (2000)
  5. 北川、林 :空間フィルタ方式による基板異物検査装置の開発、第39回計測自動制御学会学術講演会予稿集、201A-2 (2000)
  6. 「フラットパネルディスプレイのガラス基板検査」、非破壊検査、 50 (5) 284/289(2001)

関連製品紹介ページ

基板異物検査装置 HS-730 (Particle Counter) 

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