最終更新日:08/05/25

技術紹介

膜厚測定装置OP技術資料
Technology of Film Thickness Measurement

はじめに
 当社では、画像処理技術、及び光学測定技術を基本技術として、半導体、薄膜磁気ヘッド、フラットパネルディスプレイ(FPD)分野向けの各種検査/測定装置の開発・販売を行っている。ここでは、膜厚測定装置OPシリーズの測定原理と応用例を紹介する。

測定原理

BPR 膜厚測定装置OPシリーズは、米国Therma-Wave社の半導体用膜厚測定装置“オプティプローブ”で用いている「ビームプロファイル反射率測定法(BPR:Beam Profile Reflectometry法)」の原理を採用している。
BPR法は、非破壊・非接触で最大3層までの多層膜構成サンプルについて、その膜厚/屈折率/消衰係数を同時に最大3パラメータまで測定可能という特徴がある。

BPR法とは、古くから知られている膜厚測定技術であるVAR(Variable Angle Reflectometry)法を新しく改良したものであり、光の反射率の入射角依存性を測定することにより膜厚や屈折率、消衰係数を求めるものである。
VAR法とは、単色光の入射角度を変化させながら試料表面に照射しその反射光量を測定することで膜厚を求めるものである。しかし、この方式は入射角度を変化させるために試料または光源系を回転させる必要があり、また測定スポットを十分に小さく出来ないなどの問題から、実用に適するものではなかった。
BPR法では、VAR法のこのような欠点を改良することで、高い精度での測定を可能にしている。


BPR-principle

BPR法の測定原理を図2に示す。直線偏光のレーザ光を高開口数(NA=0.9)の対物レンズを介して試料表面に集光させると、試料表面にフォーカスされる光束には、対物レンズの中心を通る入射角0゜の光線成分から、対物レンズの端を通る64゜(sin−1NA)までの光線成分がふくまれ、それらが同時に試料表面に入射する。この時、試料の膜の中では光の多重反射が生じ、反射光Rは入射角θ、膜厚t、光学定数(屈折率n、消衰係数k)に応じて変化する。この反射光を同じ対物レンズを通してラインセンサ上に投影することにより、入射角を変化させたときの反射強度分布を機械的な可動部無しで測定することができる。また、直交配置された2個のラインセンサで反射光を検出することにより、P偏光成分とS偏光成分の反射率プロファイルを同時に求めることができる。
このようにして得られた実測反射率プロファイルに対し、膜の物理モデルから導かれる理論反射率プロファイルの中から最も一致するプロファイルを、非線形の最小二乗法によるカーブフィッティングにより求め、そこから定まるモデルより膜厚及び光学定数を測定結果として与えるものである。
このように入射角に応じた反射強度分布から膜の物理モデルそのものを推定する方式であることから、最大3層までの多層膜の膜厚、屈折率、消衰係数を、最大3個まで同時に測定することができる。また、高開口数の対物レンズを使うことで試料に照射する光のスポット径を小さくできることから、0.9μmの微小領域の測定を可能にしている。

測定例
表1に液晶サンプルにおけるマルチパラメータ測定の例を示す。

表1.各種サンプルに対する測定例

 

膜構成

測定対象

測定結果

2パラメータ測定

SiN/Glass SiN(t、n) t =3074Å (σ=0.1)
n =2.00  (σ=0.0002)
a-Si/Glass a-Si(t、k) t =1980Å (σ=0.1)
k =0.02  (σ=0.0002)
n+a-Si/Glass n+a-Si(t、k) t =2531Å (σ=0.1)
k =0.03  (σ=0.0003)
ITO/Glass ITO(t、k) t =2047Å (σ=0.1)
k =0.006 (σ=0.0001)
PI/Glass PI(t、n) t =1363Å (σ=0.42)
n =1.60  (σ=0.001)
PI/ITO/Glass PI(t)
ITO(t)
tPI =1312Å (σ=1.87)
tITO=2032Å (σ=1.05)

3パラメータ測定

ITO/Glass ITO(t、n、k) t =3024Å (σ=0.1)
n =2.02  (σ=0.0002)
k =0.006 (σ=0.0004)
A/B/C/Metal A(t)
B(t)
C(t)
tA =1537Å (σ=3.7)
tB =2184Å (σ=17.3)
tC =2398Å (σ=5.1)

t:膜厚、n:屈折率、k:消衰係数

 

OP LIne scan & Area scan 本装置の測定方式には、1点測定/線測定/面測定のモードがあり、目的に応じて選択可能である。図にラインスキャンとエリアスキャン測定した例を示す。

 

OP-repeatability 膜厚と屈折率の2パラメータ測定の繰り返し再現性についてのデータを示す。膜厚と屈折率の標準偏差σは、共に0.01%であり高い再現性が得られていることが分かる。

 

OP-Appli-1 直径数百μm程度の微小な測定対象の厚さ分布を測定した。微小スポットサイズで、膜厚測定が可能であるというBPR法の特徴が活かされた例である。

 

参考文献

  1. 岩佐:フラットパネルディスプレイ用膜厚測定装置、液晶ディスプレイ技術1998年−液晶ディスプレイ製造技術−、電子材料、6月号別冊、p.123、(1998)
  2. 林:液晶製造プロセスにおける計測検査技術の最新動向−フラットパネル・ディスプレイ特集−、日経マイクロデバイス、7月号、p.139(1998)
  3. 小林:汎用小型膜厚測定装置「OP−50S」、月刊ディスプレイ12月号、5/9 (1998)
  4. 小林:汎用小型膜厚測定装置「OP−50S」、菱光技報、12月号 (1998)

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